OETR
OETR


space
About
OETRとは
海洋エネルギー学と都市再生学の出会い
OETR連携グループ

Symposium
ごあんない
アーカイヴ

Conception
研究の目的
三陸リサーチ・シーフロント構想
サーヴェイ#01_NaREC+EMEC
ワークショップ#01_平田小学校+釜石小学校
インタヴュー#01_伊東豊雄氏

 

 

 

 

 

OETR連携研究グループ事務局
東京大学生産技術研究所  北澤研究室
153-8505  東京都目黒区駒場4-6-1

OETR
Conceptionreturn
三陸リサーチ・シーフロント|太田浩史

space

2012年3月27日に行なわれた
第2回OETRシンポジウム
「Episode 3 中間報告」より抜粋




01│三陸沿岸地域の復興のかたち

“三陸の復興を考えた際に
どのような「かたち」が考えられるのか。”

マスタープラン


もともとが縮小地域であり、高齢化、産業の衰退といった問題を抱え、まちを維持していくためにどうすべきなのかを早急に考えなければならなかった。そういった地域を津波が襲ったわけです。すなわち、この地域を復興させるための新たな社会、産業、そして新たなコミュニティのあり方が問われています。

今回お話しするひとまずの答えを「三陸リサーチ・シーフロント」と名づけ、アジア版EMECとしての海洋エネルギー研究センターを中心に、海と、海に面する陸を繋いでいく考え方を探ってまいりました。

自立分散型のエネルギーを導入し[…]、エネルギー計画と都市計画を同時に捉え[…]実証実験サイト、リサーチセンターの形成を通じて、新しい地域モデルをつくり、三陸沿岸地域の復興のかたちを見つけたいと考えております。


02│海の施設群、陸の研究拠点

“「ブルーフィールド」──海の施設群
「グリーンフィールド」──陸の研究拠点”

タウンとビレッジ


研究拠点を核にしてどのようにまちづくりをするのか。海洋エネルギーを利用した発電設備があり、生産したエネルギーをどう使うかという課題がある。そこで[…]考えたのは、二つの言葉です。ひとつが「ブルーフィールド」であり、もうひとつが「グリーンフィールド」です。[…]前者は海の施設群、後者は陸の研究拠点[…]、この[…]組み合わせによってリサーチ・シーフロントを形成いたします。[…]内海に養殖場や水産加工施設を。沿岸から離れた外海、風の強いエリアに風力発電や波力の施設を配していくことになります。

ブルーフィールドは、洋上の実験サイトですので、洋上風力発電設備をはじめ、波力発電、潮流発電などの各設備があります。[…]ここに線上の形の「ブルーライン」というものも考えます。[…]外海の洋上に施設を建設するにあたり、どのようなことが考えられるのか。例えば、浮体式風力発電装置の組み立てを行なうに際しては、クレーン船を使うなどさまざまな方法がありますが、なにか足場があると工事は容易になります。防潮堤を延長し、工事のための足場、工作デッキとしてインフラに組み込むことができるのではないかと考えています。

キャンパスタウンがある程度完結したものとしてあり、もう少し小さい湾にサテライトビレッジがある。キャンパスタウンには、リサーチセンター、エネルギーセンター、エキスポ(展示場)があり、ブルーラインがある。

サテライトビレッジには、実証実験室とエコライド(新交通)の施設があるのではないかと思います。グリーンラインとは、キャンパスタウンからサテライトビレッジをつなぐ系統を指します。電力の送電網や配管などエネルギーやインフラをつなぐだけでなく、交通のハブや発電所が配されることで、陸側のシンボルとしても機能します。


03│地域のエネルギーを考える

“陸で一番大事なのは、エネルギーセンターです。”

エネルギーセンター


通常であればエネルギーセンターのような施設はまちなかで表舞台に立つことはありませんが、リサーチフィールドにおいては、エネルギーセンターをどうつくるかが地域のエネルギーを考えるうえで、最も重要なことかと思います。[…]ここを核とすることで初めて土地利用、住戸配置、そしてインフラの配置が設定できるのだと思います。
キャンパスタウンのエネルギーセンターでは洋上風力発電だけではなく、バイオマスのプラントも併設されるべきだと考えています。海からは電気が届き、山からは木質バイオマスチップが届く。それらをエネルギーセンターで組み合わせ、ベストミックスして、市街地や水産施設に送る。水産施設には電気と冷水を送り込み冷蔵庫や加工場に使っていただくようなフローを考えています。


04│キャンパスタウン

キャンパスタウン


釜石市の復興まちづくり計画の土地利用の概念図を見ると、波際は漁業水産加工系エリアとしてあります。低いところは住宅の建築を制限し、安全な高台を住居系エリアとしているのですが、低い土地の使い方に関しては使用用途がなかなか見出せていません。こういったエリアに、ある程度の高さをもった頑丈なリサーチセンターの研究施設を配置したらどうかと考えています。その基幹インフラとして低地をグリーンラインが走っており、リサーチ地区や非住居系地区はそこからエネルギー供給を受ける。高台の住居地区も、グリーンラインからエネルギーを受けます。

キャンパスタウン断面


海洋エネルギーを中心とした再生可能エネルギーの研究拠点であり、産学協同研究の体制を敷きます。海底ケーブル、洋上建設デッキ、モニタリング施設など、さまざまな海洋研究のためのハブとして機能いたします。また、小規模な学会の開催などに対応する短期滞在のための施設も併設いたします。


05│サテライトビレッジ

サテライトビレッジ


小規模な湾にある、小さな研究室、研究施設が建てられるサテライトビレッジです。実証実験室、工場、研究者が滞在するコテージ、そして港が、落ち着いた研究環境をつくります。ここには新しい交通が必要になりますし、人々がリフレッシュのために歩けるプロムナードも必要かと考えました。

サテライトビレッジ断面


サテライトビレッジには、交通の拠点を設けます。波際には海洋エネルギーの実験をするのに必要な風車の部品などを製作する工場を配置します。漁業と共存しうるかたちで、実験機器の洋上への運搬が港から行なわれるでしょう。低負荷な移動手段として、実験サイトではエコライドを利用した交通を配します。


06│ブルーライン

ブルーライン


「ブルーライン」[…]を観光デッキとして利用し、デッキに至るアプローチにはカフェおよびピア(桟橋)として開放することで、リサーチ・シーフロントを一望でき、港や風車の風景を楽しむ場所として活用できるのではないかと考えました。


07│機能がクロスオーバーする港

港


さまざまな方々が少ない投資で研究できるバックアップ施設を考えてみました。ひとつだけではなく、三陸のあちこちに点在するようにあり、それぞれの湾でそれぞれの研究をする形態も可能ではないかと思います。


08│エキスポ

エキスポ


リサーチセンターを訪れた方は、当然新しいエネルギー技術に興味があると思うので、それをお見せする場所「エキスポ」をつくります。海洋エネルギーとスマートコミュニティ関連の展示を行なうことで日本のエネルギー技術の積極的な発信を図っていく。例えば、地域の模型やパネルが展示され、窓の外にはブルーラインのさまざまな施設や風車が見えている。


09│機能性と美しさ「エコライド」

エコライド


斜面地の交通手段として地形に柔軟に対応できる「エコライド」を導入します。このエコライドのステーションに、電気自動車の急速充電が可能な交通ハブ、レンタル・サイクル・システムなどを併設することで、機能性をもちながらも、いつか世界遺産となるような美しい景観をつくることも可能ではないかと思います。


10│三陸──美しい海とまち

“まさにそこでは美しいことが
問われていると思います。”


三陸、美しい海とまち


ツーリズムというと軽く思われがちがですが、日本では江戸時代に東海道を中心として観光が盛んになり、そこから日本を特徴づけるさまざまな文化が生まれました。三陸の風景、食文化を見直す契機として、地域の住民のみなさんにとっても重要なのではないかと思います。遠野には多くの方が訪れるということなので、今後は学習型のツーリズムによって三陸の海にも足を延ばしていただくことを視野に入れてもよいのではないでしょうか。建築、都市計画、都市デザインの立場から言うと、まさにそこでは美しいことが問われていると思います。

漁業とエネルギーの風景が共存するような「新しい海とまち」「美しい海とまち」が、三陸にできたらいいのではないかと思っております。

おおた・ひろし=建築家、東京大学生産技術研究所講師

 

ページ先頭へ  Top

 

 

line oetr@iis.u-tokyo.ac.jp line © Ocean Energy for Tohoku Regeneration 2012  

トップページにもどる トップページにもどる